無蓋列車に運ばれて



理由もなく
無蓋列車に運ばれて
その場所も認めず
行方も分からぬまま
僕らは思い知るのだ
不確定なもののあわいに
置かれたこと
逃れようのない運命の咎
たわいのない嘘、幻
干からびた路線のカマキリ
ありったけの知恵を絞り
弔いの意味を探っている
なぜ死なねばならなかったのか
それでも死にきれないのかと
燃え残り
燻る希望と
とぐろ巻く思惑
無数の痛みと断念に
名を与えられることはない
死臭漂う世紀の縁を
無蓋列車に運ばれて
目的も分からぬまま
うわべだけの良心に
通じ合えない論争が続いている
容赦ない熱線が群衆を焼く
おいしい話を求めて
亡者たちが一心に票を数えている
地平線が燃えている
横殴りの雨が村を飲み込む
原発は死の灰を備蓄し
干天には無数のミサイル
かいま見えるのは
爆心地の渦
渋谷スクランブルの渦
国境線に流浪の渦
街角には
買い叩かれたレシートの渦
有刺鉄線の峠道
廃プラスチックの
繁栄と蝕みの渦から
決起せよ!
死にそびれた者たちよ
連鎖する貧窮プランクトン
暗い洞窟のウイルスよ
氷河期世代の
瀕死のオットセイ
疾走する
無蓋列車にひしめく
音のない叫び