二〇二六年のサナエちゃん
下前幸一
あっけらかんと時代は覆り
押し活の花道をゆく
ピンクのボールペンや
黒いバッグ
韓国コスメに
失われた歳月の行く末を
ドミノ倒しの言論が
無残にも崩れている
浅い溝に足を取られて
地に伏した急ごしらえの合体が
かわいそうに発見される
血まみれの顔面から
上目遣いで見上げるおじさんに
大丈夫ですかと
秘密めかして問いかける
ほほえみと裏腹の断罪で
これ見よがしな拍手や追従に
晴れやかにつつがなく
手を握り合っている
ばらまいた嘘や
鹿や詭弁や言い換えや
正面切った恫喝と裏腹に
腰を低く頭も下げて
働いて働いて働いて働いて
日の丸は触らせない
汚させない破らせない下ろさせない
誰もがアタリマエに敬うべきことを
敬うようにと
日本人なら自然の情で
口パクの君が代にも
やがては従順な臣民の誠はやどり
国柄の誇りを引き継ぐために
ほくほくと
ほくほくと勘定する
逆らうものは停波するぞと脅かし
大きな者には航空母艦でキャピキャピと
天の最大の願いを真に受けて
成長のスイッチを
押して押して押して押して
と、繰り返しの好きなサナエちゃん
一億人を人質にとって
スパイ摘発の目を光らせる
嘘、間違いや
これ見よがしの演説に足を取られても
居直りを貫き通し
私が首相でいいのかどうか
結果がすべてだと胸を張るサナエちゃん
肥大する権力に酔いつぶれないように
二〇二六年のサナエちゃん
変幻する言葉を口走り
肥大する権力に酔いつぶれないように
♪大学ノートの裏表紙にさなえちゃんを描いたの
一日中かかって一生懸命描いたの
でも鉛筆で描いたからいつのまにか消えたの
もう会えないの二度と会えないの
(古井戸の曲「さなえちゃん」より抜粋)
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