「私は今の世界に絶望している。地獄のような惨劇がフィクションであってほしいと願うのだが、世界はどんどん混迷を深めている。一方的な侵略戦争、「力による現状変更」、残酷なテロ、
虐殺や破壊、愚かな政治的駆け引きが横行する世界には、もう何も期待しない。しかし、絶望していても何も始まらない。少なくとも戦場で生まれた赤ん坊や、子どもたちは絶望ではなく未来だ。「ガレキ」は絶望と同時に、ふたたび立ちあがる希望でもある。」(あとがきより)
表題のとおり、「ガレキ」を主題にした詩集です。ガレキという言葉で真っ先に思い浮かぶのは、パレスチナのガザの惨状です。ガレキというのはイスラエルによる爆撃、砲撃によって破壊されたビルや家屋のことですが、それはまさにそこに暮らすパレスチナ人たちの暮らしの破壊であり、また将来に対する希望の破壊でもあります。それはまた思考の破壊でもあり、記憶の破壊でもあります。
著者はガレキを遠い地域のものとしてではなく、自分自身の暮らしの足元から地続きのものとしてとらえようとしています。ガレキは著者自身の暮らしのひび割れを明るみに出し、また記憶を掘り起こし、痛みを呼び覚ますものでもあります。ガレキは現実の背後、現実の根元を明るみに出し、そのことによって変革の道筋を照らすのかもしれない。著者にとって、希望とは、他ならないガレキに咲く花として語るべきものなのかもしれない。
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