「日本の歴史上の転換点となった日付に、しかも同じような大雪の日に生まれ、近所の人たちから戦争の話を耳にすることがあった。村道を進駐軍のジープが通り過ぎるのを目にし、
町中で傷痍軍人の姿と哀調のある歌に触れることがあった。小学校低学年で訳もわからないまま日の丸の小旗を作らされ、清掃された砂利道に整列、走りぬける天皇巡行の車に旗ふら
された。そうしたことを意識するのが疾風怒濤の青年期、野坂昭如にならって「片足戦中派」 を自称した。」(あとがきより)
幼年・少年時代の体験を踏まえて、それを作品化し、また、多くの関連書籍や資料を参考にして戦中・戦後の日本社会の実相を描いています。「戦後80年」と言われ、戦争体験者が少なくなる中で、軍事予算の肥大化、あいつぐミサイルの配備、「日の丸・君が代」の強制、憲法改正の動き、自国ファーストや核武装の声など、歴史的な記憶の風化が実感として迫ってくるなか、とても貴重な詩集だと思います。時代の大きな動きのなかで、どのようにそれと向かい合うべきなのか、考えさせられます。
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