一羽のひばり
三月になったばかりの空くもり
はらりと張られた電線を五線譜にして
一番上の線のさらに上で
ひばりがたった一羽で叫んでいる
ちゅくちゅくちゅくちゅくちゅくちゅく
衝動的にとび上がったのだ
まだ冷たい空の上層で行き詰まり
羽根ふるわせて高鳴く
行けない 行けない まだ行けない
空に書き込まれた五線譜に囚われているのか
作り上げた巣のある野菜畑のただ中へ降りていきたいのか
あるいは ゆうゆうと鳶の滑空する山の高みへ駆け上がりたいのか
行けない 行けない まだまだまだまだ
見えない一本のひもで体と心を囚われたように
僅かに移動しながら しきりに羽根を羽ばたかせ
あがいている一羽のひばり
行けない行けない行けない
雲の重く敷きつめられた空から
一筋の光が降りてきて射られたのか
礫のようにいきなり墜落する
黒ずくめの小さな一羽のひばり
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