合流
なじむという
和合の哲学を
教えてくれる
なじむ
掌の陶器コップ
今ここに
初めて在るとさとすのは
遅ればせの
春の冷たい風
りりとした輪郭の透明は
宇宙の海
もっと触れていたくもあり
触れずともある
静かで過激な体感を
私は愛する
少しふくれた内壁の一点
きりなしのぼうちょう
無限大と極小を
等しくする大あくびが
それとなく誘発され
久し振りに
陰陽のリズムがピタリはまる
ひとくちのコーヒー
私は私の薄録のオーラをなめし
合流を確かめるかのごとく
ほとんど瞑想しながら
器を弾く
静かな答えがそこにたたずんでいる。
中尾彰秀さんの21番目のこの詩集を読んで、そんな言葉が頭に浮かんだ。「百の千の万のお勉強レベルの一般論よ、さようなら。詩イコール音楽、音楽イコール詩、それ自体が答えとして宇宙一体癒し波動に包まれている(あとがきより)」。ごく最近、2012年12月初めにも、中尾氏が主宰する「EARTH
POEM PROJECT」の参加させていたきましたが、音楽と詩とが融合する楽しいひとときでした。また「詩を朗読する詩人の会“風”」の代表として、関西詩人協会の運営など活発に活動されています。
今回の詩集は比較的平易な言葉で書かれていて、読み飛ばすとあっというまに読めてしまうのですが、ふと立ち止まり、言葉の息吹に耳を澄ますと、とんでもない深淵が垣間見えるのです。
発行 竹林館