あたたかい十二月もネオン輝く モリタクミコ
おじさんが死んだので あとかたずけを妹とした おじさんは48才でひとり暮らししてた セロハンのリボンが赤く 何本も横切って走っていく 妹がサッシを開けると 騒音がして電車になった はじめての海外で 動物園でサルを抱いて おじさんは 日本で聞いたことのない病気に なって死んだ 拭き掃除して、 不燃ゴミを出して、 粗大ゴミは臨時回収の手配をして、 新聞紙をまとめた 「若いうちに結婚しぃや」とおばあさんが言った 妹もわたしも、若くない 冷蔵庫の玉子入れに「年末ジャンボ宝くじ」が入っていた コンセントはみんな抜いてあった 冷蔵庫を妹にやって「宝くじ」をもらう ビニール袋のままのお米をあけると 白い蛾が三匹あばれている 「マンション買おと思てんねん、二千五百万ぐらいの」 妹もわたしも誰にも似ていない