あとがき

 約二ヶ月ぶりになってしまいましたが、お元気でしょうか。僕の方は、この 二月から三月にかけて、文章を書くのにおわれていました。新日本文学会の現 代文学活動会議というのを、村田拓さん、北岡敏範さんとやっているのですが、 その編集の号ということで、6月号に向けて書いたのです。実は今回紹介して いる廣石さんたちの「なんでやねん」の特集で、90年代を振り返る文章を書 く機会があり、それをふまえた上で、連続して書いたのですが。ともあれ、も う少し先ですが、よかったら読んでみてください。  ―  先日、彦根の街を歩いた。すでに春の兆す風の中で、ふと「…もう、ないの か」という思いが頭をよぎった。アフガニスタンの石仏のこと。僕はその石仏 に対する知識もないし、アフガニスタンの政情にも疎いけれども。爆破した人 たちに怒りを感じないわけではないけれど、それよりも、自分にそくして感じ られるのは、漠然とした喪失感のようなもの。SFではないけれど、過去を殺 害することによって、未来は一変する。亡くなったことによる状況のズレが、 散歩する僕の足元にも、すでに波及している。                              また、ね。  

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