あとがき
　　　　　　　　　　　　　

	　先日、広島へ行ってきました一日目は宮島の観光。広島で一泊して、次の日は平和公園を中心にして、
	市内をぶらぶらとしてきました。
	　広島へは約一五年ぶり、二度目の訪問になります。前の時は、反核運動がもりあがった頃のことで、
	公園で集会に参加していた時の情景くらいしか記憶には残っていません。原爆ドームを目にした記憶も
	ないのです。たとえ忙しい日程だったにせよ、見ようとすればいくらでも見られたはずなのに。たぶん、
	見ようとはしなかったのです。
	　はじめて目にした原爆ドームは、ショックでした。でも、そのショックの中身はうまくとらえられも、
	言葉にできもしないもので、僕はただ写真をとることしかできませんでした。いくつかの土地で目にし
	たイスラムの寺院を連想しました。でも原爆ドームの聖の土台にあるのは三○万人の犠牲者の沈黙です。
	そして死と沈黙は、これでもかというほど具体的なのです。
	　帰阪してからは、またすぐに忙しい毎日が始まってしまいました。考えるべきことを先送りにして、
	このまま取り逃がしてしまいそうで、焦ってしまいます。
	　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　じゃあ、また。