地図 早川和子 いくつもの不在があった それは見捨てられた地図だ 道を辿り、川を渡り 旅をしたが いつも何かと決別した 道を選ぶことは迷いに似ている 選べばかならず別の道を喪失した 選ばれた道も その価値を見つけられないうち 新たな旅に出なければいけなかった もう一度辿れたとしたら 迷わず地図を巡れたか たとえ地図を捨てても 迷うことなく辿り着けるか 新しい地図を見つけるまで 揺れ戻しながら いくつもの不在を 旅し続けるしかなかった