カップリングする鳥の声 モリタクミコ

ひとりで風呂に入る夜 換気口から、京都に行く急行列車の音がする 寒かった一日、石鹸は なかなか泡立たない小さなペニスの軽さ 親と居たころも ゆぶねで歌はうたわない ギリシャみやげにもらった 海綿が崩れている 静かさが しみる脚の毛穴を一つ ずつ数えているように遅い 何度もこすって、向こうずねを色白に する 明日だれかが良い法則を発表する おかえしに、私は「助動詞の使用率」について 目標をたてる 風呂場にはガラス戸があって 開けると黄みどり色のひかり イモのつるがキリキリとからまる森 今日の獲物をまえにして 興奮するサルの声が突き抜ける 明日となりの単身赴任のオジサンはシーツを洗う ベランダで挨拶をして、私は 室外機のウラの鳩の巣を処分する

モリタクミコの詩

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