句集「友へ」
大道寺将司 著
花影や
死は工(たく)まれて
訪るる
辺界(へんかい)に
風巻き上がる
昼寝覚(ねざめ)
身のうちの
虚空(こくう)に懸(か)かる
旱(ひでり)星
※旱星 炎天の続く頃、夜空に赤みを帯びて輝く星
*句集「友へ」 発行 ぱる出版 東京都新宿区本塩町8番地
*筆者は、東アジア反日武装戦線「狼」のメンバー。1974年、三菱重工業本社前に時限爆弾を装置、
爆発により、死者8人、負傷者385人を出し、死刑確定中。長く独房にあり、外部との通信も極端に
制限されている。
*しかし僕たちはそのような筆者の身の上から出てくる左右の予断や倫理的な判断というものを
いったん保留した上で、詩そのものに対面しなければならない、と思う。と言ってもそれは、詩や句が
政治や思想からは独立のものだから、ということではない。予断や表面的、倫理的な判断をとりはらった
ずっと底に、詩や句の政治性、思想というものは、黒く光っているものだからだ。それは言葉、詩や句の
中立性そのものを撃つ。