はなびえの唄
黒川 洋
いち陣の風に誘われて
桜の花ふぶきびらびら
その落花狼籍の間だけが
平成政府脱管
ほろ酔いのおいらもつられて
ひょろひょろとたゆたう。
二三歩あゆんでは
ここは御国を何センチ
と 飛び上がる
平成政府脱管だ
ろっぽうふみふみ踏み抜いて
おじさん静止画 至福のとき。
四の五のいって
会議は踊らず懐疑に終わる
出る杭は打たれる
出ない杭はなおさら打たれる
御国も言葉も体も みんな
みんな お道具 ものよ。
六道輪廻の七分咲き
兵役 学徒動員 学童疎開
アメ車のジープ IBルック
おじさん達のトラウマで
団塊なんて糞くらえ
反戦 反核どたまの中で空回り。
七つ八つから
ランドセル背ょって
隣のはなちゃんみえちゃんと
びらびらかぞえて
人外の道を行きます
実を捨ててこそ殻は浮世よ。
九重に身は裂かれるとも
黄昏に身を焼かれるおじさんは
裂情つのる言葉に犯されて
花ふぶくはな散らしの
雨の夜の寒さにうち震え
野卑なじいさんになろうと思います。
十重二十重
ふぶくひらひらのかぞえ唄
となりのみえちゃんはなちゃん
びらびらさんよ
苦労をカタリつくせよ
びらびらさん今年もありがとう。
この世には もう
おまえの吸う空気はないと
パラパラ踊りの少女たち
一連のはみだすおじさんは
近い日に きっと
千円じいさんになろうと思うのです。
*「騒」第42号より 発行 騒の会 東京都中野区新井2-16-7-301
*花びえの桜ふぶきのような言葉の舞いですが、そのうしろにほろ酔いの冷静とでもいったものを感じます。
しかし、例えば「平成政府脱管」とか「千円じいさん」とか、僕には意味がよく分からない言葉もあって、ちょっと消化不良になりました。