死者たちに
長谷川修児
ぼくの思わくとかかわりなくあなたたち
はさっさとどこかに行ってしまいそれっ
きり戻ってこない あなたも あなたも
あなたも 一人の例外もなくだ そんな
理不尽なことが許されるのか はき捨て
るように声を荒げてもぼくの周囲はなに
ひとつ動かない 石の沈黙が積みあがっ
ていく以外はすべてきのうとかわらない
明るい日ざしをさえぎる雑木林の木道を
歩いていくと忍者ガラスどもの白昼の暗
闘がくりひろげられている 死の舞踏だ
といったのはあなたたちの一人だった
そうさ そういうことはぼくはよく記憶
しているんだ あなたたち ぼくの声を
きいているか きみきみは知っているだ
ろうパダン パダン パダン それは
わたしを追いかけてくる パダン パダ
ン パダン 「覚えているか」とこづか
れる≠サうだよ エディット・ピアフの
唄だ 一人ぐらいぼくを追いかけてこな
いか 覚えているよと言ってくれないか
*「遊撃」はほぼ月刊で発行されていて、すでに299号にもなるガリバンのミニコミで、長谷川さんを中心にして、反戦の活動や朗読会など続けてこられたのですが、最近は誌面に訃報が目立ちます。そういうことや、現代の状況が詩にあらわれているのでしょうか。すこし気を抜いて、ゆっくりやっていってほしい、とも思います。
遊撃299号(さかさのイシ発行)
東京都代沢2−41−13
97年4月号より