ホームレス牢人          大石太

   あぶれ寝の尻の穴まで西日射す 偽(にせ)放哉 屁をしてもひとり 赤い羽根つけて歩けば笑われる 義足盗まれ こきこき月が鳴る 寝てるおらに盲人の杖あたる 炊き出しや皹(ひび)顔が列をつくり コンビニで万引きごころをおさえる 野垂れ死や叫ぶがごとき面怖(おもこわ)し やわらかき日雨(そばえ)野垂れ死濡らす 蛍火に行き倒れの眸(ひとみ)が灯る 胼(たこ)腫らし飯場満期もあと二日

*「ホームレス牢人」創造書房 1999.10.15発行

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