恋の手前 川田エリ 囲いの中に紛れ込んだ私は 君かだれなのか、君か何処にいるのか わからない すれ違う視線や 立ち止まる影に つん、と立つ感情の触れ合う瞬間 その時から私は 正面ではないところから 君をみつめる ことしか できなくなる 背後から つん、と立った感情を突き刺してみる それから私は、忘れた 私は、笑った 箱の中の箱を辿って歩いて行く どんどん箱を開けてゆくと そこには 知っていることの中で羽毛のようにふわふわ 浮く真っ白いもの それは少し裏切りを含んで 私を恋へ導く