風           河野晋平

風がこんなにそよいでいる。 風がこんなにそよいでいるのは、 僕が今、 晴ればれとしているせいだ。 風がこんなにそよぐのは、 僕の心が呼んだからだ。    雲の合間に見える青。      僕の心が呼んだ青。   ああ、いいな。    いま、いいな。  風、気持ちいいな。     青、うれしいな。   陽、あったかいな。 僕がこんなにそよいでいるのは、 僕の心が呼んだからだ。 「おい、外を見てみろよ。」と、 僕の心を呼んだからだ。   横断歩道の白いペンキに反射して。   風がこんなに、そよいでいる。

*「KAIGA」53号より。 大阪市西成区千本中2−11−15
時折、ライブで歌をうたったりもする河野さんの詩。肩の力の抜けた、とても気持ちのいい詩です。

96年7月号より

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