風 河野晋平 風がこんなにそよいでいる。 風がこんなにそよいでいるのは、 僕が今、 晴ればれとしているせいだ。 風がこんなにそよぐのは、 僕の心が呼んだからだ。 雲の合間に見える青。 僕の心が呼んだ青。 ああ、いいな。 いま、いいな。 風、気持ちいいな。 青、うれしいな。 陽、あったかいな。 僕がこんなにそよいでいるのは、 僕の心が呼んだからだ。 「おい、外を見てみろよ。」と、 僕の心を呼んだからだ。 横断歩道の白いペンキに反射して。 風がこんなに、そよいでいる。