来る夏 小野耕一郎
新しい夏を迎える 太陽は雲を追い払い いちめんの青空だ 芝生に寝転んで もろもろの悲しみに別れを告げ 野に遊ぶ ひどく心は病んでいるのに やわらかな紫外線は それを打ち消すように さんさんと照り付ける 太陽が呼んでいる 神が遠くから貧しき者らを 招いている 行かなくては行かなくては 導くものの声を頼りに あれは太陽という神だ もう何日も歩き続け 太陽のもと 転げ回ったのだろう 急がなくては 夏はあっというまに通過する いま気持ちをひきしめて 来る夏に感謝し 僅かばかりの物乞いをしよう