詩集「ポエム・レッスン」   有安ルカ 著

   ポエム・レッスン

生きていることに 嘘はないのか ひとつひとつ問い詰められる 嘘をつく自分 を見る自分 かざりを削って 服を脱いで どこまでもペンを入れる 削りきれない わたしが残る レッスン

  領域

鏡にうつったさかさまの顔 内耳から聞く声 そんなふうに わたし自身でありながら わたしに属さないものを かかえている 気になってしかたない しかたないがさわれない たとえわたしのなかで 反乱をおこしても 気づきはしない それはわたしの領域ではない わたしとともに成長をつづけ わたしを洗い直す いつのまにか わたしにとってかわる

*発行 事情社 大阪市東住吉区東田辺2-16-7
*有安ルカさんとは、昨年行われた「詩マーケット」で初めてお会いして、この詩集をいただきました。
 「あとがき」には、「ポエム・レッスン」という題にふさわしいさわやかな出来ばえかといえば、まだかなり生硬さです、とあります。
 しかし僕は、その生硬さが露出している部分にひかれました。生硬さ、心理、観念、精神といった鋭角性が、詩の手触りになっていると思います。
 詩において、成熟というのは尺度になりえないと思います。
 有安さんが中心になって運営しておられるサイト「漂」(文芸同人誌)もどうぞ。

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