詩集「街の中の街」        四方章夫 著

                

北畠

路面電車の停留はどこも同じ手がかりがない 車が止まる止まらない ラグタイムが表出 カーテンをつくって売る規格外の窓のため 琴 古都 事 ことこと 笹の剪定 空白の時間の挨の delice 儒教学的リゴリズムといかけてもものいわぬきまずい間 まあまあ バイアス     ぐし縫い          穴糸 別珍にとおす キルトとかアップリケ 方法としての 針を待つもの 土台布のブロック 解約する 困る箱入り ソルビトールやそばの実 はりやすいように膨張剤 まろやかのために寒冷紗でおおう イトトンボは尾鰓で呼吸する             ダンスとにかくダンス      ダンスから外へ はでに◎ あつかましくなる平気 地図で面積を競う          なんでもうっとこ          なにわろとんねん 番小屋に機動隊員と地図          なんかおかしんかい やわらかいサルスベリがのぞく 老人体験で階段をのぼる          四時ごろの懐かしい光 すべて      四で要求する男 バーの景品に   四〇個くれ          四〇〇〇円かしてくれ このヘルメット  四〇〇〇円やで 自転車買うのにあと四〇〇〇円たらん 返事しないと暴れまくる女  水を流しながら鳴咽している キンカン中毒痒くなくても   もっと声をだせ ああ ああ ああ ああ あ あ ああ ああああああああ あああああああああああああああん はさからへろにかけて アオスジアゲハ上下に 張文匣 オキシヘラー コロデイオン 紙 西の内    紙 杉原     紙 見返しに 小口がずれる 座吟のない 気付ない 囲いの中のわがまま 術後のしびれ りんどう てっせん あと小さい桃色の花が交互に並ぶ 色で統一 図鑑忘れてきた 上が白左が上 気がつくと部屋にいる たえずどこかでなにか音がする          四〇〇〇のアイテムの紙 寝冷えしらずの 肉おさえの 近距離の ◎◎◎まるで◎◎◎

*詩集「街の中の街」 発行 A企画
*大阪の地名を題にした詩で構成された詩集です。
 北畠は僕の通った高校があるところで、路面電車のコト、コト、コトという音とともに言葉としての景色が移るのが、 ふと懐かしいような感じになりました。余情の定型に乗るのではなく、余情の造形がめざされているのかもしれません。

戻る

ホームページ