まつろいに
　　　　　　　　　　　　　　　　　　下前幸一


	薄闇
	冷たい
	を、あとずさる
	もの


	の
	衣擦れ
	の、
	いざない


	風の	
	吹く、
	の中に
	吹かれるの中に


	僕たちはつねに居合わせているのです。


	いる
	の、葛藤


	に、
	途切れる
	点灯する、
	伝統


	タングステン


	暗い
	夢、影の
	あやつり


	白熱する
	タングステン


	灯火管制


	の、白昼
	サラエヴォ発
	行き、
	バーミヤン


	銃殺


	僕たちはつねに居合わせているのです。


	卒倒する
	冬、日の
	聖戦


	の、
	検閲


	見る
	の、あがない


	和の、曇天の
	天の、
	半分


	自粛する
	場の、まつろいに


	僕たちはつねに居合わせているのです。


	知る、の
	鈍い痛み
	に、


	移送される
	私の
	身の毛が、
	そよぐ