おっぺんはいまあ博士は原子爆弾を発明した
佇立するマドンナ
あんたの越境が微かな異郷へとあんたを自己組織化する。
ガスタンク巨大球体へと求愛する 佇立するマドンナ 僕の。
都市を巡る地下ケーブルが あんたの脳下垂体に ちくちくとメッ
セージを送りつづけた
全ての迷えるオッペンハイマーたちは一切のエナジーを解き放つ解
(かい)を求めた。究極の微分積分方程式の彼方にほの見える 究
極の解 究極の実在 究極の真理 あるいは究極の世界観 究極
の哲学
おお オッペンハイマー 世紀の博士たちよ 血まみれた一九四五
年の悲劇を礎にして いま 一切のオッペンハイマー 人類の歴
史に 巨大な塔が 立つ。
無限に私たちは成長する。
無限に 私たちは近似されていく。
無限に私たちは天国の近似値へと収斂されていくのだ。
無限に 私たちは 無限に 天国の 無限の 近似値へと 無限に
収斂されていく 私たちは 無限の 近似値へと 収斂されてい
く私たち。
無限に私たちは近似されていくのだ!
逆巻く巨大な螺旋的上昇の舳先で吠える一切のオッペンハイマー。
その時
おっぺんはいまあ博士は原子爆弾によって発明された。
その時 おっぺんはいまあ博士 は究極の微分方程式 の解として
反定義されたのだ。
「一切の存在は 定義された世界によって反定義される解である」
おっぺんはいまあ関数の 発散する特異点の噴出を手で押さえなが
ら おっぺんはいまあ博士 つくり笑いをする その時
発散する特異点の近傍で 佇立するマドンナ あんたの悦びのアド
レナリンが その深遠に落ちていった 一滴。
おっぺんはいまあ博士は世界に定規を当てがっていた。
虚空に おっぺんはいまあ関数の軌跡が 飛び交っていた。
現在という 透明な切断面が 立っていた。
全世界は 刻々と 紡ぎ出されていた。
おっぺんはいまあ博士は世界に定規を当てがっていた
その時
無限の近似値へと接近するオッペンハイマー軍団の叫喚が脳裏をか
すめた。
「そこは何処だ…?」
悦びの予感に胸を打ち震わせながら おっぺんはいまあ博士は世界
の鏡面に呼びかけた。
「そこは何処だ!」
その時
鏡面を突き破り 怒濤のように 溢れ出した 一切のオッペンハイ
マー 幻のように 瞬時 叫喚を残して 通り過ぎていった。
「人民よ 前進せよ!」
呆然としてたたずむ一切のおっぺんはいまあ博士
ポトリと定規を落とした。
人間として その羊水のただ中に ぽっかりと浮かんだ 一切の定
規。
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