もどせ
盧進容
ゾウがここに来たのは
今から五○年前
アフリカでも、インドからでもない
太平洋の東の端から
最初は退治に来たのだ
そのちょうど五○年前に
ここを沖縄と名付けた
北から来た鬼たちを
そう、一○○年前までは
ここ琉球という国には
鬼もいなかった
ゾウもいなかった
退治に来たゾウに恐れをなし
刀を持った鬼たちは
腹を切って自害した
美しい娘たちを道連れに
鬼を追い払ったゾウは
そのほとんどの土地を奪い
鬼の代わりに居座った
そこを人々はゾウの檻と言った
檻は檻でも出入りは自由
その大きな胃で畑を食いつぶし
その大きな足で山を踏みつぶし
その大きな鼻で娘を犯した
ああ、
この一○○年をもどせ
もとにもどせ!
琉球にもどせ!
*『ひびけ沖縄のこころ』
伝えよう!沖縄の怒りと平和のこころ・基地はいらない
3・20関西のつどい実行委員会編より
耕文社刊 大阪市都島区都島北通2−1−16
よびかけ
昨年、米兵による暴行事件に端を発した沖縄の怒りは、
太田知事の代理署名拒否、8万5千名を結集した県民集
会の大成功と基地撤去のうねりとなって燃えています。
戦後50年沖縄は、軍用地への強制的土地収用、基地が
あるゆえに起こる無数の犯罪や事故、土地利用計画や産
業振興への阻害と、あまりにも大きな基地の重圧に苦し
んできました。今なお日本の米軍専用基地の75%が全
国の面積の0.6%しかない沖縄にひしめいています。
21世紀を前にして、「基地のない平和な島を」の願
いはあまりにも当然で切実なものです。
しかし残念なことに日米両政府は、沖縄の基地撤去の
願いをことごとく踏みにじってきました。今回検討され
ている整理・縮小案も、遊休地の返還や県内の別の場所
への移動など、抜本的なものとなっておらず、むしろ新
たな基地の永久固定化につながることが危惧されます。
そして今、日本政府は太田県知事にたいし代理署名を求
める職務執行命令訴訟をおこしています。しかし問われ
るべきは、アメリカの占領政策に協力し、安保を口実に
50年間も基地を押しつけてきた日本政府であり、その
政府を許してきた私たち自身ではないでしょうか。
冷戦構造も終焉し、世界も大きく変わりました。今こ
そ、沖縄から軍事基地をなくすときです。
…
1996年新年にあたり
「平和な島を」関西沖縄の会 連絡先 大阪市大正区小林東3―13―20 06(362)6709
米兵の暴行糾弾!沖縄とともに基地撤去をめざす関西連絡会
「伝えよう!沖縄の怒りと平和のこころ・基地はいらない3・20関西のつどい」への呼びかけより
1996年7月号より
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