されど幸せな日々 鳩野智彦

幸せな日々が 誰にも約束されているか 幸せだと思った瞬間 ひび割れしていく日常 帰った故郷に 誰がいたか 幸せな人々は死に絶え 不幸な人達が 肩を寄せ合って 苦闘している オレがオレが と、生存競争を生き抜いて 幸せだったか オレは知らぬ 生きていることとは 死ななかったことか 死ねなかったことか オレがオレが と、 はねのける力のある者が 覚える快感 そしてやはり むなしく ああ、ゆっくりしたい 目がまわる人生だったと 少しは他人に威勢を張り 虚勢を張ったか むなしさはやはり どうにもならぬ 時の移ろい こけたな おれが こけたな ま、いいや 踏み付けるなら、踏んでみな かわりばえのしない日々のなかに こけることさえ おもしろく感じられてしまう さて、どうにかして あることないこと ひっくくって 放り投げようか 目をつぶれば ねむってしまいそうな 時間

*「花炎」137号 大阪府南河内郡太子町山田62-16
*いちばんひんぱんに送られてくる詩誌です。鳩野さんの詩には、時々、はっとさせられます。

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