接続詞 鳩野智彦

                    

そこで

そこで と言った僕は 後の言葉が 何も出てこなかった 何を言うべきなのか 何を言えば その場がおさまるのか わからなくなってしまった

けれど

けれど、やつらが と こぶしをふりあげたい と おもったが 勇気がなかったので あげかかった こぶしを ひっこめた 口から出かかった やつらが という 言葉も 出さなかった

だから

だから、と続ければいい とおもって だから、と言ったものの 言ってしまえば おしまいになるけれど いつも しりごみしてしまう

接続詞

何を接続しようというのか もしくは どれとどれを 切り放そうとするのか また 私と貴女の間を どうつなぎ どう切り放すか それとも 永遠に別れるか 私は知らない

*「花炎」105号より
 〒583-0992 大阪府南河内郡太子町62−16 鳩野方

*接続詞は文の前と後とを接続するけれども、前が消去されて、突然接続詞だけが出現するものだから、論理性は消え、後の方がふっと宙に浮きます。その浮き方に、僕はふと、山之口貘の詩を思い出しました。

戻る

ホームページ