詩集「シビアかな」    瀬生江光洋 著
	  シビアかな
	橋の下でくっちゃべって
	はいのはいのはい
	“えへヘヘヘ、しかえしだぁ”(エノ健)
	と来ないんだなあ
	言えば言うんだけれど
	言わなきゃ言わないんだなあ
	ここキャフェ“ヴィオット”だってそうだから
	けっこういつも楽なんだ
	 個々のキャフェ・レストラン“ノヴェル”に
	 マニュアルのキャフェ“シュベール”
	こちらのことを知っているのに
	実にていちょうなのは理容店“T”
	感謝感激雨あられ
	シビアを通り越している
	ここは煉獄グループ“S”
	こちらが“メッ”と言えば
	グループは“メッ、メッ メッ”と三倍は返してくる
	にらめばにらんだで
	殺気をほのめかす
	そして
	ゲヘラ ゲバラと笑いやがる
	 弱者じゃ弱者を救えない、か?
	さあ、大変だ
	“今の若いもんときたら”(エノ健)
	と言いたくなる五十七歳のおいら
	(「おいら」は暮尾淳さん(*)の真似)
	“おいらはドラマー やくざなドラマー”
	と嵐を呼ぶことだって出来るぜ
	おいらにだって、さ
	一昨日は公務員に“死ね!この野郎”
	と言ったし
	Hには“この野郎、早く来い”と言った
	しかしそのあとの結末は
	シビアかな
	そんな時は北原さんじゃないが
	あとであやまりのTELを入れるしかない
	これから死ぬまで
	シビアかな?シビアじゃないかな
	やっぱりシビアだろな
	あとはこちらの耐性の問題さ
	“なんか はこびこんだかな!”
	そうすっとんきょうな声出すなって!
 
	人生一瞬のごとし
	長ーいぞ 長いぞ 人生は
	  2000 10/13店にコーヒー代を借りた日
	         *暮尾淳 詩誌「騒」主宰者・詩人
	
	
*発行 あけぼの舎 東京都文京区自山上1-20-1
*「ひとり言」としての言葉が分散的に働いているために、意味の流れはつかみにくいのですが、
言葉は頭の中で、実は、こういうふうに漂いつつ、流れているのかもしれません。