試験監督 1 江原茂雄
いつもは活発に というよりは騒がしく しゃべったり 笑ったり どなったりしているおまえらなのに いつまで経っても静かなままだ もう書くことがなくなって ぼんやりしている そんな顔のひとつひとつに 寂しさをさえ感じてしまうよ もう 答えることがないのだろう 何にもすることがないのだろう 何もすることがないということは 夢も希望も友達も学校も 世界全体を失くしてしまい 自分ひとりになってることだ いや 世界全体が失せた時には 自分があっても自分じゃない だから おまえたちは 今 しんに寂しくなっているのだな そういう時 人間は こんなにも寂しい顔をするのだな 私だって今の瞬間 何にもすることがないのだよ