詩集「呼吸のソムリエ」 中尾彰秀 著
洗濯バサミ
何も挟んでない時は 静かに合掌している 挟んだら必ず成仏させる自信 時たま 太陽の片鱗 挟んだまま 屋上に忘れられ糸
秋空の糸引けばキュンそこに在り キュン 声がして 一輪の紅い花が咲く 百数十億年経た 宇宙の究極の答 道添いの細長い公園の入り口 少し窪んだ ひかりのひと休みする その地点へと 操られ あたかも 自分の意志であると 思い込み 収まるべき ピッタリの 場所で お金の事かな 建築のことかな 運転のことかな 政治のことかな 文化芸術のことかな かな かな かな 誰かが 誰かの 何かの お役に立って ホッと一息ついている 秋口草々と赤土に抱かれた 昼下がる公園ベンチ 金色の糸 頭へ肩へ降り注ぐ 青年にせよ