窓                上田清

心は 小さな箱に作られた 美しい一つの窓である 宇宙の風をいっぱいにうけ 音や光や素敵な色をあふれさせながら 星の海を旅している 時々そこから 太陽や惑星が誕生し 古い星が光となって消える 窓は 方形であり 球形であり とほうもなく大きく 見えない程小さい そして瞬間であり 永遠である 美しい窓に 歴史が生まれ おおいなる沈黙が聞こえる 私はそこに住む 未来への郵便配達夫 休日の午後 チリ紙交換車のエンジンが響き おなじみの声が流れてくる ストッキングで縛った新聞紙を抱え 路地を走る 振り向いた男に 私は 大きな声をかける

*「新怪魚」65より 和歌山市船所70−12
 上田清さんと、僕は面識はありませんが、よく詩誌の交換をするので、なじみ深い人という感じです。和歌山で発行されている「新怪魚」で活躍されています。
 毎号、着実に詩作をされているという印象です。 
97年12月号より

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