ずっと前からどうしたの モリタ クミコ

もともとサル顔タレントが好きだったが その日テレビでやってたのは、ある海外青年協力隊員 カレは八尾の出身、三十才で オランウータンの保護をしていた これこそ私の赤い糸 「森の哲人」にふさわしく 金茶色の毛をフサフサと 考えごとをしながらバナナを食べるオランウータン とにかく行こう じっとりと空気の重たい テレビのと似た森で 物色するオランウータンは こっそり持ち出すためには 子供の方が手ごろなのだが 大人と違って落ち着きないかもしれないし カメやワニ皮のように ワシントン条約に反するのか 調べる間もなく来たので 最初に見つけたオランウータンを ビジネスクラスの手荷物として 持ちかえり 二人は毎日レタスを食べてくらしました それは、私とは別のはなし ここに居る夫は 冬になるとクマの模様のパジャマを着て 詰め物のぬけたように座っている姿は たしかにずっと以前には オランウータンだったのだが 私がサル好きなのに気づいてないので はずかしそうに無口だ

モリタクミコの詩

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