白い獣のように 二〇二五年ソウル



一月五日、大統領公邸前
降りしきる雪にまみれ
あなたは蹲っていた
白い獣のように

十二月三日、深夜
非常戒厳の宣告
突然のクーデターと
国会へと突撃する戒厳軍
対抗するバリケード
市民たちは体を張って警察と対峙
辛うじて国会は戒厳解除を可決した
それが十二月四日、未明

大統領は
警護軍隊まで動員し
公邸を封鎖し立てこもり
戒厳令を正当化し続けた

一月三日、大統領の逮捕失敗

年初めの雪が降りしきり
強権と民主に
国論はひび割れていた

一月五日、大統領公邸前
白い獣のように
あなたは蹲っていた
大統領の逮捕を求めて

徹夜の座り込みに
雪が降り続いた
着こんだダウンやシュラフ
毛布や耐寒シートにくるまれて

底冷えの中
無数のこうもり傘にも
重い雪が積っていた

白く閉ざされた視界に
真実が扇動とせめぎあう
報道にも雪は降りしきって

内乱状態のただ中で
雪に蹲る白い獣
あなたは目覚めている
身の内に熾火を抱えながら

凍てついた朝
目覚めた一対の視線として
誰よりもあなたは見つめるだろう
弾圧と民主化への長い闘いを

身震いをする
一点の意志となって
むしろ私に問いかける
歪んだ鏡のような

どうせ政治なんか関係ない
現実的に考えろとか
財源やコスト・パフォーマンスとか
何を言っても変わりはしないと

自由と民主主義をもてあそび
みっともない憲法だとかいう
私たちの社会の言いぐさを見ている
無関心な私たちのありようを

強制連行はなかったとか
慰安婦は売春婦だったとか
韓国社会は未成熟だとか
訳知り顔の私たちの存在を問う

一月五日早朝、大統領公邸前
白い獣のように
あなたは見つめている
降りしきる雪の向こうを

一月十五日、大統領は逮捕された



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