韓の世はことごとく
巨大な石亀の背に ことごとく水の中 降りしきる雨に閉ざされて ソウルはオンドルを点す 雨の日、パンソリを聴きながら 行くところがない 散乱するハングルの光景が ポケットの記憶と交錯する 合わせ鏡の幻惑 僕とよく似た僕の口から アジョシハムニダセヨオプソヨ イムニカメクチュネーアンニョンと とめどなく流れる言の楽 近くて手の届かない チョソンの山野に 浮かぶ帆 世はことごとく水の中 歩道を叩く激しい雨 林立するビル街も 液晶ビジョンも漢江も イ・スンシンも景福宮の私服もすべて ことごとく雨の中 ナップを背に歩道を泳ぐ 黒い唇のさかなたち 初夏の凍えにつま立って コンビニの灯りは待ちぼうけ CDセンターの軒端に宿る 九七年世代のいたいけな記憶 肩を濡らしたソウルが約束を追いかける その名前を僕たちは知らない 雨の日、パンソリを聴きながら 行くところがない 路地裏の民俗茶園に時はたたずみ 密やかな会話は背後を流れる 僕とよく似た僕たちの会話に すりむけた触覚をくゆらせながら 水辺のオンドルに僕たちはまどろむ 現代のパンソリよ 深海の深閑の韓の山野 微かな海鳴りのサムルノリを 巨大な石亀の背に 韓の世は ことごとく水の中