新日本文学6月号(発売中)
特集 希望がもてる文化のために ― 詩と状況と ―
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希望がもてる文化のために ― 詩と状況と ― 詩はどこから来たのか? 詩以外のところから。詩は どこへ向かうのか? 詩以外のところへ。詩の起源であ り、また目的でもあるその場所を、状況と呼ぼう。 状況は、あらかじめある場所でも、唯一の客観的な現 実でもない。それはむしろ詩作そのものによって、詩作 との相互作用によって、そのつど発見される、振動し、 明滅する場所である。 詩と状況との界面を思考すること。それは、あらかじ めある思想(詩論)によって、その動的な場所を囲うこ とではない。むしろ、思考そのものを、詩と状況とが生 成されるその現場にさらすということ。「希望」は自ら を生みだすしかないのだ。 詩と状況は今、モザイクでしかありようがない。モザ イクを覆う論ではなく、個的な切実な論が必要なのだ。 今回の特集は「希望」のためのささやかな試みである。 (下前幸一)
希望の流れ……川崎 彰彦 流星雨につつまれて……働 淳 友……島 つなみ 神戸とわたしと詩……直原 弘道 九・一一以降の状況と詩と……細見和之 僕の見慣れた風景には……石坂 蔵之助 禿山の夢……木津川 昭夫 戦争の神……矢口 以文 谷戸観音へ……黒羽 英ニ 蜻蛉の化石、そして奇跡について……平岡 けいこ 声の聞こえない場所……森川 雅美 好みの傾向……津金 充 巷談・春のわかれ……梅崎 義晴 日暮れの舟唄……丹野 文夫 雪よりも白いさびしさを身籠り……早川 純 夜を待つ……桂 あさみ 空は洗濯屋……松本 恭輔 藍色の夕刻……片岡 美沙保 この時間に太陽の照る土地はどこ?……モリタクミコ 沖縄・行……近藤 計三 湯船王、虚しさとの戦い……たなかよしゆき 河童の手……出海 溪也 馬の国の領主……斎藤 彰吾 言わねえぜ 言うのはヤバい これ以上……瀬生江 光洋 萬烟経……米山 将治 ヴェール……田端 宣貞 空ノ鳥……庄司 文雄 問いと答え……西田 進 「状況の詩」のほうへ……井之川巨 詩論 小野十三郎の「垂直旅行」から「樹木の影」へ……沢 孝子